東スポWebより(2017/1/14記事)

トラクター窃盗団“バラしの手口”

全国の農産地でこのところ、トラクターの盗難事件が多発している。鳥取では金属回収業の男が7年間で530件、被害総額3億円超のトラクターなどの農機具を盗み、中古農機具販売店に転売していたことが分かった。ただ最近になって、外国人による窃盗グループの存在も判明。関係者によると、かつての高級自動車窃盗団と同様、既に役割分担が細分化された組織が暗躍しているという。

安城市では昨年12月から12台が盗まれ、被害総額は7000万円を超える。中には1000万円を超える機種もあり、TPPで揺れる日本の農業には、さらに頭の痛い状況だ。悪いことに農業機械の盗難事件は、全国的に広がっている。

鳥取県では今夏、金属回収業の男(62)が摘発された。7年間に京都や鳥取など14府県で530件、被害総額3億1200万円を盗み、中古車農機具販売店に8万~33万円で転売していた。

農機具は屋外に出しっぱなしにしているケースが多いことや、自宅の母屋とは別の倉庫に収納していることから盗まれやすい。倉庫の鍵を壊して盗み出したケースもあり、明らかに標的を決めているのが特徴だ。盗まれやすい要因は、セキュリティーの甘さにもある。

「メーカーや形式が同じならエンジンキーが共通の機種が多く、犯人からすれば盗みやすい。なのに本体価格は高級外車よりも高いんですから」とは自動車窃盗に詳しい中古販売関係者。

盗んだ後はどこへ行くのか。「高級車と同じくさばくルートが決まっているようです。窃盗グループと仲介屋、海外に流すルート。こういうシステムがはっきりと分業化されている。これが最近多発する原因では。被害者は盗られて捜しても、翌日には分解されて海外に転売されている可能性が高い」

まさかウチのトラクターが…とならないためにも、注意が必要だ。